スペイン・ラ・リーガのレアル・ソシエダに所属する久保建英選手を巡って、2025年夏の移籍市場において複数のビッグクラブからの関心が報じられています。この記事ではクラブ関係者の発言や本人のコメント、移籍金の実情などから、久保選手の将来についてジャパンツアー後の動向を多角的に掘り下げています。
ジャパンツアー後の移籍交渉が本格化?
レアル・ソシエダは、7月21日にV・ファーレン長崎と、25日に横浜FCと対戦するジャパンツアーを実施。久保選手はこれらの試合で新シーズンをスタートさせましたが、これは決してソシエダ残留を意味するものではありません。
レアル・ソシエダが日本企業との5年間のパートナーシップを締結しており、2年連続でジャパンツアーを行っていること、そして日本代表とレアル・ソシエダの主力である久保選手がこのツアーに不可欠であることは明白です。
そのため、移籍交渉がジャパンツアー後に本格化するのは自然な流れと見られています。久保選手は、ジャパンツアーを終えスペインに戻った後も、レアル・ソシエダのトレーニングに合流しつつ、移籍交渉の進展を待つことになると予測されています。
バイエルン・ミュンヘンからの強い関心
特に移籍の可能性が高いとされているのが、ドイツ王者のバイエルン・ミュンヘンです。エースのジャマル・ムシアラ選手がクラブW杯で左腓骨骨折と複数の腱損傷の重傷を負い、復帰まで4〜5ヶ月かかる状況です。さらに、左ウイングのレロイ・サネ選手がガラタサライへ移籍し、トーマス・ミュラー選手の退団も濃厚であるため、バイエルンは明らかに攻撃陣の枚数が不足しています。
バイエルンは今夏、レバークーゼンからDFのヨナタン・ター選手を獲得しましたが、攻撃陣では19歳のトム・ビショフ選手を獲得したに留まっています。この状況から、少なくとも左ウイングとトップ下の選手を1人ずつ補強する必要があるのは明らかです。
久保選手は、元ドイツ代表のトニ・クロース氏が株式を保有するドイツの大手代理人事務所「Sports360」と新たに契約を結びました。この「Sports360」はバイエルンとのコネクションが非常に強く、このことから、久保選手がバイエルンの獲得候補に高確率で挙がっていると見て良いでしょう。
プレミアリーグ勢からのアプローチ
久保選手への関心は、ドイツだけでなくイングランド・プレミアリーグのクラブからも寄せられています。少し前には、リバプールやアーセナルといったビッグクラブが獲得を狙っていると報じられていました。ワールドクラスの右ウイングの選手が揃うプレミアリーグですが、中央のポジションもハイレベルにこなせる久保選手は、確実にビッグクラブにとって有益な存在です。
これらの動きを加速させているのが、久保選手が前述したように代理人をドイツの大手事務所「Sports360」に変更したことです。スペインメディア「DESMARQUE」は、この代理人変更が「夏の移籍を見越した一歩となる」と指摘しており、今夏の退団を見据えた布石との見方が強まっています。
一方で、久保選手に設定されている契約解除金6000万ユーロ(約98億1729万円)が、移籍の大きな障害となる可能性があります。レアル・ソシエダは、この満額オファーが届かない限り、対応するつもりはないと報じられています。これは、久保選手の移籍金のうち50%を古巣レアル・マドリードが得る契約となっているため、ソシエダは残りの約48億9000万円の収入を確保するためにも、満額回答を求めていると見られています。
エバートンFCも久保選手の獲得に向けて具体的に動き始めていると報じられていますが、エバートンは4000万ユーロ(約68億円)程度で獲得できると見込んでいるとのことです。しかし、レアル・ソシエダは今夏、マルティン・スビメンディ選手をアーセナルに高額で売却しており、経済的な余裕があるため、このタイミングで久保選手を“バーゲン価格”で売却する必要性は全くない状況です。
【移籍】久保建英の獲得へ、エバートン「最優先で狙っている」。右ウイングが補強ポイント
🚨ただし移籍金“減額”が条件か⁉️ となると…
📷(C)AFLO
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(Xより引用)
セリエA王者・ナポリからの関心
久保選手には、イタリア王者ナポリも獲得への関心を示していると現地メディアが報じています。ナポリはリーグ連覇とチャンピオンズリーグでの躍進を目指し、両サイドの強化を重要視しているようです。
イタリア人記者のマッテオ・モレット氏によると、ナポリは久保選手を右サイドの補強候補として検討しており、スペイン『Fichajes』は、アントニオ・コンテ監督のビジョンに合致する選手だと評価しています。しかし、同メディアはレアル・ソシエダにおける久保選手の重要性や、高額な契約解除金(6000万ユーロ、約98億1729万円)を考慮すると、ソシエダが安易にオファーに応じることはないだろうと指摘しています。
ナポリは現時点で予備的な接触を行っている段階で、正式な交渉には至っていません。しかし、コンテ監督がダイナミックなウインガーを強く求めている意思がうかがえます
久保選手とレアル・ソシエダ新監督のコメント
久保選手は、7月21日のV・ファーレン長崎戦後に自身の去就について言及しています。彼は「現在のところ僕はここにいます。確かに(移籍に関する)噂は目にしますが、僕は今のところ、何も聞いていません」と述べ、他クラブからの具体的なオファーについて何も聞いていないことを強調しました。
また、久保選手は移籍するならば「正門から堂々と出ていかなければならない」という自身の意思が変わっていないことも示しました。これは、タイトル獲得などの偉業を達成してから、という意図が込められていると解釈できます。
一方で、久保選手はマルティン・スビメンディ選手を売却して弱体化が叫ばれるソシエダには、補強が必須であると訴えています。彼は、かつてのダビド・シルバ選手のようにチームを「勝利に導ける選手」が必要だとし、「今のところ誰もやって来ていませんが、まあ、それは僕たち選手が扱っていることではないので。昨季が終了したとき、変化のシーズンになると話していましたが、良い選手がやって来るなら歓迎です。僕たちは改善される必要があって、そのための選手たちが加入してくれることを期待しています」と、クラブに対して暗に補強を促す発言をしました。
レアル・ソシエダの新監督セルヒオ・フランシスコ氏も、久保選手が新シーズンもソシエダでプレーすることに自信を示しており、「クボは我々のプロジェクトを達成する上で、非常に重要な選手だ。私は落ち着いているし、タケともいい関係を築いている。なんの問題もない」と語っています。しかし、久保選手の発言は、クラブの現在の状況から見て、残留の保証ではなく、より競争力のあるクラブになっていかなければ退団も辞さないという「注意喚起」と解釈するスペインメディアもあります。
今季成績と移籍金が問題
久保選手は今シーズン、ソシエダ加入後最低となるリーグ戦5得点に留まりました。2月23日の試合以降、約3か月間ゴールがなく、過去に目標としていたシーズン二桁得点には届きませんでした。この成績の低下は、ビッグクラブ移籍において大きな障害となる可能性があります。ある選手代理人は、「ビッグクラブともなれば、その辺りが移籍の障害になる可能性はあるんじゃないかな」と指摘しています。
また、レアル・ソソエダは久保選手の移籍金を6000万ユーロ(約98億1729万円)に設定しており、中堅以下のクラブが支払うのは難しい状況です。
欧州各国リーグが終了し、移籍市場が本格化していく中で、久保選手が新天地を見つけられるかは微妙な情勢です。レアル・ソシエダに残留して新監督の下で再び輝きを取り戻すのか、それとも自身の成長とキャリアを考えて新たな挑戦を選ぶのか。久保選手の決断が、今後のサッカー界の大きな話題となることは間違いありません。
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