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10/10日本代表 VS パラグアイ代表  南米の強豪に挑んだホームゲーム第1戦は2-2のドロー

サッカー日本代表は2025年10月10日、キリンチャレンジカップ2025でパラグアイ代表と対戦し、2-2の引き分けとなりました。この記事ではその試合について記述しています。

南米の強豪に挑んだホームゲーム初戦

今年6月に8大会連続のワールドカップ出場を決めて以降、9月シリーズでは北中米に遠征し、メキシコ、アメリカとの連戦を勝利なし(0-0、0-2)で終えていた森保ジャパン。その9月シリーズを経て、10月シリーズはホームで南米勢と2連戦。その初戦の相手となったのが、FIFAワールドカップ26南米予選を6位で終えて本大会出場を決めた強豪、パラグアイ代表です。

過去の対戦成績は5勝4分2敗(PK戦負けはドロー扱い)と、相性自体は悪くありません。特に、2010年南アフリカW杯ラウンド16でPK戦の末に涙を飲んだ因縁の相手に、今回は5連勝を目指す戦いとなりました。

大阪のパナソニックスタジアム吹田に集まった大勢のサポーターの前で、日本代表がどのような戦いを見せたのか。試合の流れから、個々の選手の評価、監督・選手のコメント、試合内容の分析まで記述します。

スターティングメンバー

森保一監督は、お馴染みの3-4-2-1の布陣を選択しました。

GKには、パルマ・カルチョに所属する鈴木彩艶選手。最終ライン(3バック)は右から、ル・アーヴルACの瀬古歩夢選手、フェイエノールトの渡辺剛選手、そしてFCコペンハーゲンに所属し、この試合が重要なテストとなるであろう鈴木淳之介選手という顔ぶれです。

中盤のボランチコンビは、リーズ・ユナイテッドの田中碧選手と、マインツ05の佐野海舟選手が担当。両ウイングバックは右にKRCヘンクのスピードスター、伊東純也選手、左にスタッド・ランスの中村敬斗選手が起用されました。

2シャドーには、アイントラハト・フランクフルトの堂安律選手と、この試合でキャプテンマークを巻いたASモナコの南野拓実選手。最前線の1トップには、NECナイメヘンの小川航基選手が入り、9月の2試合で無得点に終わったチームのゴールを託されました。

対するパラグアイ代表は、南米予選突破を決めた際の主力を軸に4-2-3-1で対応。堅い守備ブロックを作りながら、ミゲル・アルミロン選手(先制点を奪取)やアントニオ・サナブリア選手らを中心に、日本の守備の裏を突くロングパスを多用する戦術で挑んできました。

試合の流れとポイント

前半:一進一退と小川のゴラッソ

試合は序盤から、日本が両ウイングバックを起点に積極的に仕掛けます。開始5分には伊東選手のクロスに小川選手がヘディングで合わせるなど、9月シリーズで課題だった「ゴールへの意識」は高く見られました。

しかし、先にスコアを動かしたのはパラグアイ。徐々に敵陣への侵入回数を増やしたパラグアイは、21分、ダミアン・ボンバディジャ選手からのシンプルなロングパスで日本の最終ラインを攻略。裏へ抜け出したミゲル・アルミロン選手に冷静にGK鈴木彩艶選手の股下を通すシュートを決められ、先制を許します。

ホームで先手を取られる苦しい展開。しかし、日本はすぐに反撃します。26分、高い位置でボールを奪い返した佐野選手からのパスを受けた小川航基選手が、ペナルティエリア手前で前を向き、右足一閃。強烈なミドルシュートを放つと、GKロベルト・フェルナンデス選手が弾ききれず、そのままゴールへ吸い込まれる形で同点としました。小川選手は「振れるタイミングで振るように」という名波コーチのアドバイスを実践した一撃だとコメントしています。

勢いに乗った日本はその後も中村選手、伊東選手を中心に多くのチャンスを作ります。特に、中村選手の鋭いクロスに小川選手が頭で合わせたシーン(40分)など、前半だけで相手GKフェルナンデス選手の好セーブに何度も阻まれ、前半は1-1で終了しました。

(Xより引用)

後半:スーパーサブが劇的弾

後半も日本が悪くない入りを見せ、49分には小川選手のヘディングシュート、さらに南野選手の押し込み(オフサイド)など、畳みかけます。

しかし、次の得点もパラグアイにもたらされました。64分、ペナルティエリア手前でセカンドボールを拾ったフアン・カセレス選手からのクロスボールに、渡辺選手の前に入ったディエゴ・ゴメス選手が頭で合わせ、再び1-2とリードを許します。セットプレーではないものの、クロスからの失点という課題が浮き彫りになりました(伊東選手も試合後にクロスの対応を課題として挙げています)。

森保監督はすぐさま動き、66分には南野選手と中村選手に代えて、クリスタル・パレスの鎌田大地選手と、代表デビューとなるクイーンズ・パーク・レンジャーズの斉藤光毅選手を投入。78分には田中選手と堂安選手を下げて、ボルシア・メンヘングラートバッハの町野修斗選手とFC町田ゼルビアの相馬勇紀選手を投入し、攻撃的な姿勢を強めますが、なかなか同点弾は生まれません。

そのまま終盤に突入した89分、佐野選手と小川選手を下げ、藤田譲瑠チマ選手(シント=トロイデンVV)と上田綺世選手(フェイエノールト)を投入。

そして、ドラマは後半アディショナルタイムに訪れました。後半4分(90+4分)、右サイドでボールを持った伊東純也選手が、相手GKとDFの間を狙った鋭いクロスを供給。ニアサイドを抜けたボールに、ファーサイドで虎視眈々と狙っていた背番号「18」の上田綺世選手が、ダイビングヘッドで押し込みました!

土壇場での劇的な同点ゴールで、試合は2-2でタイムアップ。日本は3試合ぶりの勝利は逃しましたが、南米の強豪相手に2度のビハインドから追いつくという粘り強さを見せ、複数得点を記録して無得点試合をストップさせました。

(Xより引用)

試合内容の評価と分析

この試合の最大の収穫は、何と言ってもストライカーのゴールです。

先発で起用された小川航基選手が、鋭い反転からのミドルシュートという得意の形で同点弾を決め、交代出場した上田綺世選手が、土壇場で決定力の高さを見せつけました。森保監督もコメントで「得点を獲ったのがFWで、我々が点を獲ってほしいと思うポジションの2人でしたので、今後の戦いにおいて軸がしっかりすると思います」と評価しており、エース候補の競い合いが良い形で結果に繋がりました。

また、佐野海舟選手(マインツ05)が田中碧選手と組んだボランチコンビも、高い位置でのボール奪取(小川選手の同点ゴールの起点)や、球際の強さといった「守備から入る」意識を高いレベルで示しました。守備の距離感や、状況判断にはまだ改善の余地があるという佐野選手本人のコメントもありますが、非常に将来性を感じさせるプレーぶりでした。

一方で、課題も明確になりました。それは「複数失点」と「クロスの対応」です。

1点目はシンプルなロングパスでの裏取り、2点目はサイドからのクロスボールを頭で決められており、特に伊東選手や鈴木淳之介選手がコメントしているように、クロス対応、そして「個人のデュエル」で負けていた点が指摘されています。また、森保監督も「アグレッシブに戦いながらも守備では堅く守っていかないといけない」「複数失点は避けなければいけない」と厳しく評価しており、守備面での改善はブラジル戦に向けて急務と言えます。

しかし、攻撃面では伊東選手の切れ味鋭いドリブルとクロス、中村選手のカットインからのチャンスメイク、そして鎌田選手や斉藤光毅選手といった途中出場組が流れを変えようとする動きを見せ、チャンスの数自体は前回に比べて増えた印象です。

監督と選手のコメント

森保一日本代表監督

「アグレッシブに戦いながらも守備では堅く守っていかないといけないと改めて感じています。複数失点は避けなければいけません。『いい守備からいい攻撃』という部分は、さらに磨いていかなければならない」と守備への課題を強調しつつも、「攻撃の部分では2点獲れたこと。なおかつ、得点を獲ったのがFWで、我々が点を獲ってほしいと思うポジションの2人でしたので、今後の戦いにおいて軸がしっかりすると思います」とFWの活躍を評価しました。

FW :上田綺世 選手

「今はその運も含めていい状態なのかと思います」と謙遜しつつ、劇的ゴールについては「特別うれしいです。普段から支えてくれる母と僕が憧れている父も来ていたので、点を獲って少し恩返しができたのが一番うれしい」とコメント。背番号18での初ゴールは、彼にとっても特別なものになったようです。

MF/FW :小川航基 選手

「(名波コーチに)『振れるタイミングで振るように』と毎日のように言われ続けていましたが、それがあの瞬間に頭によぎって、そこですぐに振るという判断をできたのが大きい」と、練習の成果を強調。自分の良さをチームが理解し始めてくれたことにも手応えを感じているようです。

MF/FW :伊東純也 選手

「クロスからの失点が多いという印象なので、クロスの対応をしっかりと、マンツーマンでやっている分、相手に負けないというところはやらなければいけないと思います」と守備面での反省を述べつつも、「チャンスは前回に比べて多く作れたのではないかと思います」と攻撃面には一定の評価を示しました。

MF/FW : 鎌田大地 選手

「守備が良くないと攻撃もうまくいきません。ただ、追いついたのはすごくポジティブです。こういう試合で負けるとチームの雰囲気も下がるところがあるので、点を入れて戻れたことは評価できる」と、失点時の守備の崩れを指摘しつつも、同点に追いついた粘りをチームの収穫として捉えています。

グスタボ・アルファロ パラグアイ代表監督

「2022年のワールドカップの前にエクアドル代表を率いて日本と対戦しましたが、その時よりも日本はさらに化を遂げていると感じました」と、日本の成長を評価しています。

 

次の超強豪ブラジル戦への展望

激闘となったパラグアイ戦を2-2で終えた日本代表は、中3日で次のビッグマッチを迎えます。

次戦は10月14日、東京スタジアムにて、南米の超強豪ブラジル代表との対戦が予定されています。今回のパラグアイ戦で浮き彫りになった守備の課題、特にクロスの対応やデュエルの強度を、世界のトップレベルであるブラジル相手にどう修正し、通用させるのか。

日本代表の選手たちにはこの試合で得た自信と課題を胸に、難敵ですが、ブラジル戦勝利を目指してほしいと願っています。

  • 【スコア】 日本代表 2-2 パラグアイ代表
  • 【得点者】 0-1 21分 ミゲル・アルミロン(パラグアイ代表) 1-1 26分 小川航基(日本代表) 1-2 64分 ディエゴ・ゴメス(パラグアイ代表) 2-2 90+4分 上田綺世(日本代表)

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