ブライトン所属日本代表MF三笘薫選手の2番目の著書「サッカードリブル解剖図鑑」が2025年2月4日に発売されました。この記事ではその内容と本格的な感想・レビューを書いています。
「サッカードリブル解剖図鑑」の概要と発売日
サッカー日本代表として、そしてイングランド・プレミアリーグのブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFCで世界を魅了するドリブラー、三笘薫選手。彼の唯一無二のドリブルテクニックが、一冊の書籍に凝縮されました。
それが、2025年2月4日にエクスナレッジ社から刊行された著書「サッカードリブル解剖図鑑」です。この書籍は、単なる技術解説書にとどまらず、三笘選手が長年培ってきた「なぜ、自分のドリブルは抜けるのか」という論理的な思考と、それを実践するための具体的なノウハウが惜しみなく公開されています。
三笘選手のドリブルの理論と実践
本書の最大の魅力は、三笘選手自身が「僕のドリブルには抜ける理屈がある」と語るように、感覚的なものとして捉えられがちなドリブルを、徹底的に言語化し、分析している点にあります。彼は筑波大学時代に、自身のドリブルを研究テーマとした卒業論文を執筆したことでも知られています。その卒業論文で培われた科学的、論理的な視点が、本書の根底に流れています。
具体的には、三笘選手が幼少の頃から磨き上げてきた技術と理論を、本人の解説と豊富なイラストを交えながら徹底的に図解しています。
読者は、彼のドリブルが単なるスピードや身体能力に頼るものではなく、いかに「抜ける原理」に基づいているかを深く理解することができます。世界最高峰の舞台で実践されてきたプレーの数々が、三笘選手自身の言葉で再現され、まさに「演出家」とも称される彼の極意を知ることができます。
ドリブルの技術を超える「武器」
「サッカードリブル解剖図鑑」では、ドリブルの具体的な技術だけでなく、それを成功させるための「予備動作」や相手との「駆け引き」といった、能力に頼らない三笘選手ならではの武器が徹底的に解剖されています。
本書の主な内容と構成
突破への序章
ドリブルを始める前の準備や考え方について深く掘り下げています。
縦へぶっちぎるドリブル突破
三笘選手の代名詞ともいえる、縦への鋭い突破のメカニズムが詳細に解説されています。
縦突破の「裏」としてのカットイン
縦突破を意識させることで効果を発揮する、カットインの技術とその応用について学ぶことができます。
理詰めの切り返し
相手を欺き、打開するための切り返しの論理が明かされます。
舞台を作るパスの受け方
ドリブルに入る前のボールの受け方や、その後のプレーに繋げるための重要な要素が示されています。
フィニッシュのアイデア
ドリブルで突破した後のシュートやパスなど、ゴールに結びつけるためのアイデアが解説されています。
これらの章を通じて、三笘選手のプレーが、すべての動きに意図と狙いがあることを実感できます。反発ステップ、切り返し、ターン、止める・蹴るといった基本的な技術から、それをどのように組み合わせて相手を欺くかまで、多角的に三笘選手の技術が解説されています。
三笘選手からのメッセージ
三笘選手は、本書の刊行にあたり、サッカーへの熱い思いと、読者へのメッセージを寄せています。
「技術であれば日本のサッカーに貢献できると思い、この本を出すことになりました。僕はずっと子どもたちのヒーローになりたいと頑張ってきました。どうすれば相手を抜けるのか? 僕が実践してきたプレーと考えをできるだけ詰め込んでいます。この本を読んで子どもから大人まで、よりサッカーに夢中になり、ワクワクする人が増えてくれれば嬉しいです。みんなで世界を目指しましょう!」
と語る彼の言葉からは、サッカーに対する真摯な姿勢と、日本のサッカー界への貢献にかける強い思いが伝わってきます。
「サッカードリブル解剖図鑑」の感想とレビュー
ドリブル解剖というより哲学書
三笘選手の著書「サッカードリブル解剖図鑑」を読んで、まず驚かされたのはその徹底した技術へのこだわりと、理論に裏付けられたプレーの数々です。ただのドリブル教本ではありません。これはまさに「三笘薫の思考と哲学」が詰まった一冊であり、読む者の心を激しく揺さぶる、実践的でありながら感動的なサッカー指南書です。
世界に通用するドリブル
本書の中心にあるのは、三笘選手独自の「引きずりドリブル」の解剖です。右足の甲の外側でボールを引きずるように動かすあの独特のタッチは、何気ないプレーのようでいて、実は極めて高度で論理的な動作です。縦に持ち出す、あるいはカットインするかの判断を瞬時に行い、相手DFを惑わし置き去りにする。世界を驚かせたブライトンでの4人抜きゴールも、この技術と判断力の結晶であることが本書を読むとよく分かります。
努力と知性
この本では、派手なテクニックだけでなく、その裏側にある膨大な練習量や思考プロセスまでもが丁寧に語られています。軸足の使い方、ボールの置き所、加速のタイミング、フェイントの入り方——それらすべてが「なぜそうするのか」という論理的な裏付けとともに解説されており、読み進めるたびに「なるほど!」という驚きが連続します。
三笘選手は相手DFの視線や体の向きを読み取り、ボールを見るタイプか体を見るタイプかでプレーの選択を変えているそうです。こうした駆け引きの意図や判断の速さは、技術だけではなく思考力によって支えられていることが、本書を通して明らかになります。
名シーンの解説でスッキリ
ニュースで目にしたプレーの数々も、本書の中で図解付きで丁寧に解説されています。たとえばサウサンプトン戦での30メートル超のドリブルからの浮き球ゴール、あるいはエラシコによるカットインとシュートといった名場面が、「どのような意図で」「どのように操作されたか」が手に取るように理解できます。
テレビ画像や動画で「どうなってるんだ?」と思っていた疑問が、本書を読んでスッキリと解消され、「そういうことだったのか!」という気持ちになりました。これは、ファンにとって非常に嬉しい体験です。
サッカーにとどまらない応用力
本書で語られる「相手の動きやベクトルを見て、最適なプレーを選ぶ」という思考は、サッカーに限らず人間関係やビジネスの世界でも応用できると感じました。何より印象的だったのは、「時間は有限、使い方は無限」という言葉。このマインドは、子どもたちだけでなく、大人にとっても大きな示唆を与えてくれるものであり、自分自身の時間の使い方についても考えさせられました。
技術書でありながら感動本
この本はただの技術書ではありません。読んでいるうちに自然とテンションが上がり、サッカー経験者なら「よし、自分も練習してみよう」と身体が動き出しそうになるのです。実際にプレーしていない人でも、「このプレーをもう一度見たい」「次の試合ではこういう視点で観てみよう」と、三笘選手のプレーを見る楽しみが一層深まります。
とくに私のように草サッカーを楽しむ者にとっては、この本に書かれている考え方やテクニックの一部を、少しでも自分のプレーに取り入れられたらと思える点が魅力的です。練習のモチベーションが大いに高まりました。
三笘選手は格好いい
そして最後に言いたいのは、やはり「三笘選手は格好いい」ということです。そのプレーも、生き方も、考え方も。だからこそこの本は、サッカーファンはもちろん、夢を持って努力するすべての人に読んでほしい一冊だと思いました。
この本は宝物
「サッカードリブル解剖図鑑」は、単なるテクニック解説では終わらない、「三笘薫」という一人のプレーヤーの哲学、努力、工夫が詰まった「魂の書」でした。日本代表の試合を毎回楽しみにしている一人のファンとして、このような本が世に出たことは本当に嬉しいです。これからも三笘選手のプレーを見続ける目が、さらに豊かになった気がします。これは間違いなく、自分の本棚に置いておきたい一冊です。
この一冊は、日々上達を目指す子どもたち、現役のプレーヤー、指導者、そしてサッカーを愛するすべてのファンにとって、必読の書と言えるでしょう。三笘選手の「サッカードリブル解剖図鑑」を手にすることで、彼のプレーを見る目が変わり、サッカーの奥深さを再認識することができるはずです。世界的なトッププレーヤーが自らその技術の真髄を伝えてくれる、まさに奇跡の一冊です。
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