デンマーク1部ブレンビーに所属の日本代表MF鈴木唯人選手(23歳)が、ドイツ・ブンデスリーガのSCフライブルクへ完全移籍することが、5月20日に正式発表されました。この記事では移籍金などその詳細について記載しています。
欧州主要リーグへステップアップ
日本サッカー界にまた一人、欧州のトップリーグで活躍が期待される若手が登場しました。
デンマーク1部ブレンビーIFに所属していた日本代表MF鈴木唯人選手が、ドイツ・ブンデスリーガのSCフライブルクへ完全移籍することが、2025年5月20日に正式発表されました。移籍日は2025年7月1日付となり、鈴木選手にとっては自身2度目となる欧州主要リーグでの挑戦となります。
移籍金についてはクラブからは非公表とされていますが、複数の欧州メディアによると700万〜800万ユーロ、日本円にして約11億〜13億円に相当すると報じられています。これはブレンビーにとってクラブ史上最大級の移籍金とされ、鈴木選手の評価の高さを物語る移籍となりました。
#ブンデスリーガ に新たな日本人選手が加入 🇯🇵🙌
あなたは来シーズンの鈴木唯人にどんな活躍を期待しますか?🔥 pic.twitter.com/SQ5dht2AFJ
— ブンデスリーガ 日本語版 (@Bundesliga_JP) May 21, 2025
異例のキャリアパス
鈴木選手は2001年10月生まれの23歳。千葉県の名門・市立船橋高校を卒業後、2020年にJリーグの清水エスパルスでプロキャリアをスタートしました。若くしてJリーグでも攻撃の中核を担い、2023年1月にはフランス1部ストラスブールに期限付き移籍。欧州初挑戦となりましたが、出場機会には恵まれず、同年7月に清水へ一度復帰しています。
しかし、すぐさま次なるステージを見据えた鈴木選手は、同年8月にデンマークの強豪ブレンビーへ完全移籍。この決断が功を奏し、ブレンビーでは攻撃の中心として1年目から活躍を見せ、瞬く間にエース格の存在に成長しました。
ブレンビーでの活躍を評価
鈴木選手は2024-25シーズンのブレンビーで公式戦39試合に出場し、12ゴール6アシストを記録。リーグ戦では31試合11ゴール3アシストをマークし、スピード、技術、戦術理解の高さを兼ね備えた万能型のアタッカーとして高く評価されました。
ブレンビーのフットボールディレクターであるベンジャミン・シュメデス氏は、「彼は常にハードワークし、素晴らしいクオリティを発揮してくれた。ブンデスリーガ移籍は当然の結果であり、我々が彼をより高いレベルに引き上げる手助けができたことを誇りに思う」と語り、今回の移籍がクラブの育成方針と成果の象徴であることを強調しました。
また、「この移籍は、才能ある選手が成長し、欧州5大リーグに飛躍できる環境がブレンビーにあることを示すものだ」と述べ、鈴木選手の移籍はクラブの歴史にとっても重要な意味を持つと語っています。
切り札としてのポテンシャル
フライブルクの強化責任者であるヨッヘン・ザイアー氏は、「唯人は自らゴールを狙えるだけでなく、味方を活かすパスも出せる選手。スピード、万能性、技術力は我々の攻撃陣をさらに強化してくれるだろう」と高評価を口にしています。
さらに、「我々は長い間、彼の獲得を目指していた。ブンデスリーガの強度に慣れる必要はあるが、彼なら順応に時間はかからない」ともコメントしており、チーム戦術の中核を担う存在として期待されていることが分かります。
鈴木選手自身もクラブ公式サイトを通じて、「フライブルクは明確なビジョンを持ったクラブ。その方向性が自分の目標と一致していたことが移籍を決める決定打になった。ブンデスリーガでの新たな挑戦をとても楽しみにしている」と意気込みを語りました。
背番号14・ヨーロッパリーグ出場も
鈴木選手がフライブルクで背負う背番号は「14」に決定。
クラブは来シーズンのUEFAヨーロッパリーグ出場権を獲得しており、欧州カップ戦でのデビューも大いに期待されます。
すでにフライブルクには同じく日本代表MF堂安律選手が在籍しており、“日本人アタッカーコンビ”の共演にも注目が集まります。ただし堂安選手にはドルトムントやフランクフルトなど、ビッグクラブからの関心も報じられており、来季の共闘はまだ不透明です。
他クラブの関心
実は鈴木選手にはオランダの名門アヤックス・アムステルダムも関心を示していたと報道されています。シーズン中には何度もスカウトがブレンビーの試合を視察に訪れていたとの情報もありましたが、最終的にはドイツのフライブルクがその座を勝ち取りました。
アヤックスサポーターの中には鈴木選手の移籍を惜しむ声もあれば、逆に「このレベルではCLでは通用しない」と冷ややかな意見も。しかしフライブルクという安定したクラブで、ヨーロッパリーグを戦いながら成長できる環境は、鈴木選手本人にとっても理想的な選択だったと言えるでしょう。
連帯貢献金が発生
この移籍により注目されるのが、「連帯貢献金」という制度です。これはFIFAの規定に基づき、選手が12歳から23歳まで在籍したクラブや学校に対して、移籍金の一部を分配する仕組みです。
鈴木選手の場合、在籍歴のある清水エスパルス、市立船橋高校、葉山中学校、そして幼少期に所属していた横浜F・マリノスプライマリー追浜などに対して、連帯貢献金が支払われます。具体的には以下の通りです(1ユーロ160円換算)
- 清水エスパルス:約1,950万円〜2,800万円
- 市立船橋高校:約1,680万円〜3,200万円
- 葉山中学校:約840万円〜960万円
- 横浜F・マリノス:約650万円
このように、育成年代に関わったクラブや学校がプロ選手の成功によって報われる仕組みは、サッカー界ならではの素晴らしい制度と言えます。若手育成に携わる指導者やクラブにとって、大きな励みとなるでしょう。
韓国メディアの反応
この鈴木選手のブンデスリーガ移籍に対しては、韓国メディアからも「日本がうらやましい」といった声が聞かれました。
韓国メディア「OSEN」は「また一人、日本から欧州ビッグリーグに挑戦する選手が誕生した」として、鈴木選手の能力を「サイド、トップ下、ストライカーまでこなす多様性と得点力を持ち、左足も器用に使える選手」と紹介しています。
フランスでの初挑戦では苦戦を強いられた鈴木選手ですが、デンマークでの成長を糧に、今まさに大きな一歩を踏み出そうとしています。
日本代表定着・W杯への期待
鈴木選手はこれまでに日本代表にも招集されており、2022年1月の国内合宿を皮切りに、2024年6月のミャンマー戦ではついに国際Aマッチデビューを果たしました。
ブンデスリーガでの活躍は、2026年W杯アジア予選や本大会に向けて代表定着を目指す上でも非常に重要な経験になるはずです。
新たな舞台へ
欧州での一度目の挑戦が思うようにいかなかったからこそ、鈴木選手は地道に成長を重ね、確かな実力と結果でブンデスリーガというステージをつかみ取りました。
クラブの期待、ファンの声援、そして日本代表での未来。すべてを背負って、鈴木唯人選手は今、新たな挑戦のスタートラインに立っています。
今後の活躍に大きな期待が寄せられます。
コメント