「VISION夢を叶える逆算思考」の著者
サッカーワールドカップ・カタール大会出場の立役者であり、ワールドカップ本戦では全試合で存在感を見せつけた日本代表・三笘薫選手による初の著書です。
特にスペイン代表戦での決勝ゴールをアシスト演出した「三笘の1ミリ」は世界的に話題を呼びました。
あらすじ・要約
体が小さいことがコンプレックスのサッカー少年だった三笘選手が、今や日本代表の話題の中心となる選手にまで成長し、なぜ世界的に評価される選手になったのか?
親子・指導者をはじめサッカー全世代に参考になる、三笘選手を形作るようになった「120のメソッド(ヒント)」を全公開しています。
「120のメソッド」
「120のメソッド」の一部は以下のようになります。
- ぬるぬるドリブルを作った練習法 ・得点力を伸ばしたシュート法
- 得意のアウトサイドパスが生まれた経緯
- 自分の体を科学する「サイエンス力」を持て
- 自分の武器を見つけるメソッド
- 食事へのこだわり
- 基礎フィジカル、トレーニング法
- 試合で平常心を保つためのメンタル法
- 夢を叶える逆算思考法
- これから海外移籍を目指す選手たちへのアドバイス
- 走力の伸ばし方
- 三笘家のほめる教育法
- 体を回復させるルーチン
- 子供にもできる簡単ストレッチ法
- 2人の天才メッシ選手とエムバペ選手に学ぶこと
- 世界基準で勝つエゴの生かし方
三笘選手が自身で紹介しているように、サッカーの話だけでなく、人生を変えるための「あきらめない力」や、日本人が世界で活躍するための「仕掛ける力の大切さ」などについても触れられています。
そして日本代表がワールドカップでベスト8以上を目指すために必要な「個の力」のサッカー論や、自らの「大きな夢」、「人生プラン」も明かしています。「小中高大」の各世代からのサッカーの「伸ばし方」などを中心に、親子・指導者からビジネスマンまで参考となる、新たな「サッカーバイブル」となっています。
掲載写真
巻頭では、「世界を驚かせた三笘の1ミリの写真」や、「日本代表、川崎フロンターレ、サン=ジロワーズ(ベルギーリーグ)の秘蔵写真」そして、「ブライトン(プレミアリーグ)で日本人最多ゴールを記録した歴史的なシュートの決定的瞬間写真」や「現地撮り下ろし写真」など多数のカラー写真が収められています。
三笘薫選手が考える逆算思考とは?
この著書の発売記念として、6月25日に都内でトークイベントとインタビューが行われ、その中で三笘選手は「サッカー選手だけでなくビジネスにおいても、成功するためには目標を自分で定めて、そのために何をするのかを考えるという逆算思考を持つことが一番大事だと思います」と語っています。
さらに「サッカーでは、練習も重要ですが、自分がどんな目標に向かって何をなすべきなのかを理解せずに、ただ単に練習に取り組むだけではなかなか成長に結びつきません。
従って、まずは例えば『何歳までに日本代表になる』などと、長期目標を紙に書いて言語化することです。これが、自分の夢をかなえる秘訣だと考えています。」と語っています。
出版社と発売日
出版社
この著書の出版社は双葉社(ふたばしゃ)です。
発売日
6月22日(木) に発売されました。発売前から、Amazonランキング1位となっていましたが、6月27日トーハンの週間ベストセラーが発表され、早々とノンフィクション・ライトエッセイ第1位を獲得しました。
初版の発行部数は5万部です。
紹介動画
また双葉社では「出版のお知らせ」として以下のような三笘選手自身による著書の紹介動画を公開しています。
「VISION夢を叶える逆算思考」の感想・レビュー
いまや、サッカーでは三笘薫、ベースボールでは大谷翔平と言っていいくらいに世界的な注目を集めている三笘選手の初の著作ということで、発売日前からamazonで予約して、届くのを楽しみにしていました。
三笘選手はプロローグで、「プロサッカー選手を目指す子供たちに伝えたい3つのこと」として
- 自分にしかない武器を持つこと
- 「自分を分析する力」を身につけること
- 毎日の努力を積み重ねること
を挙げていますが、本書はこの3つのことを実践していく具体的な方法論を展開しています。この3つのことは、シンプルですがプロサッカー選手を目指す子供に限らず、人が成長し社会の荒波を乗り越えていく行く上で重要な事柄です。特に三笘選手が他と比べ特徴的で優れているのは、2つ目の「自分を分析する力」ではないかと思います。
いままでもアスリートの著書はいくつか読んだことはあったのですが、三笘選手は筑波大学出身という経歴もあり、何か新しいことを取り入れて取り組む際、必ず「科学的なエビデンス」を意識しているというところが他と際立った違いがあるように思われました。
また、物事に取り組む際、「PDCAサイクル」を回すことを、常に意識しているようです。「PDCAサイクル」とはPlan(計画)、Do(実行)、Check(測定・評価)、Action(対策・改善)の仮説・検証型プロセスを循環させ、マネジメントの品質を高めようという概念で、ビジネスの世界では有名な手法ですが、三笘選手はプロサッカー選手として、自分なりにアレンジして採用しています。
目標を視覚化して自分に意識づけするとうことではメジャーリーガー・大谷選手の「マンダラチャート」が有名ですが、三笘選手も少年時代から、「目標シート」を作り、「長期」「中期」「短期」で目標設定を行っていました。具体的な目標や将来のビジョンを文章や言葉に落とし込む「言語化」がとても大切であると語っています。
三笘選手は、2023年UEFAチャンピオンズリーグの優勝を果たしたジョゼップ・グアルディオ監督からも、絶賛されています。このような世界のMITOMAを形作ったのは、素質や取り巻く環境はもちろんですが、科学的・論理的な思考に裏付けされた、本人のたゆみない努力・取り組みであったことが、本書を読めばよく分かります。
会見の中で三笘薫についても言及するペップ監督📷 pic.twitter.com/IM4cUrWjkl
— Fooootest(サッカーブログ) (@Fooootest) July 22, 2023
三笘選手は、エージェント・トレーナー・栄養士など、自分のためのチームを作って様々なサポートを受けていると語っていますが、本書も編集者を中心とした「チーム三笘」側から有効なサポートを受けて、出版されたようです。もちろん本文は三笘選手自身によるものと思いますが、120のメソッドがそれほど長くなくコンパクトにまとまっており、各メソッドの見出しの説明文は編集側で記述した文章のようです。
また、各章の最後には「メソッドのまとめ」として箇条書きでエッセンスが綴られています。なので、どこから読んでもいいような構成でそれぞれのメソッドが、役立つ内容となっています。
素質や環境など様々な要因がありますので、この本に書いてあることを実践したからと言って世界的な選手になれるとは限りませんが、日本サッカープロ化30年の成果の頂点として実践的ですぐれた「サッカーバイブル」であると思います。
親子・指導者をはじめサッカーに取り組んでいる方ならば、一度は目を通しておくべき優れた内容と思われます。
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